TOKYO CALLING2017にみるサーキットイベント運営の在り方(後編)
前回のエントリー振り返り
前回の投稿の事を思い出せない程に時間が経ってしまいました。
完全に旬を逃す結果に……。サーキットイベントは来年もあると思うので投稿します。
前回のエントリーでは、『TOKYO CALLING2017』での入場規制発生率が27%に達していた事に触れ、「楽しみにしていたライブが見れなかった」というガッカリ体験を出来るだけ生まない運営をしてほしいな!、と意見を述べました。
『TOKYO CALLING2017』では、イベント参加の権利に対してお金を支払う形式になっており、お目当てのライブを見る権利を確約するものではありません。
それを承知で参加者は参加料を支払っているので、グダグダ文句を言うのは筋違いだという意見もあるかもしれません。
とはいえ、
楽しみにしていたライブが見れなかった、というガッカリ体験は少ない方がいいですよね。
サーキットイベントの事業としての収益性を担保しつつ、参加者の満足度を最大限高めるにはどうすれば良いか。
素人ながらに考えてみたいと思います。
ちなみに、
『嘘とカメレオン』は、ライブ途中のMCで入場規制と運営の責任について触れていたらしい。
本当は入場規制になるくらいお客さんが入って嬉しい!という素直な気持ちもあっただろうけど、彼らの誠実さを感じるエピソードだよね。
TOKYOCALLINGお品書き💭
— ぎーぎ (@giee_1128) 2017年9月18日
嘘とカメレオン
FOOL THE PUBLIC
The Wisely Brothers
SpecialThanks
カノエラナ
Amelie
MOSHIMO
主観MVPは嘘カメさん!「入場規制は運営が悪い」←いや名言ですわマジで😏 続いて→
『Yellow Studs』のDr田中君も、私の嘆きツイートに反応してくれていた。
優しいヒトである。
悲し過ぎる。
— 田中宏樹 Yellow Studs (@yesta_tanaka) 2017年9月18日
課題はたくさんあるだろうけど、出来る事として各バンドがリアルタイムの情報を拡散するとか、ライブをやるだけではなく、イベントを「創る」意識も必要なんだなと思いました。すいません。
ともあれ、良い日になりますように!楽しみましょー。 https://t.co/a7Qlcljyjz
サーキットイベントにおける入場規制によって生まれる悲しみを防ぐためには
さて本題。
前回の開催からだいぶ時間も経ってしまいましたし、まずは『TOKYO CALLING2017』の販売モデルを振り返ってみましょう。
メリットとデメリットは、「運営者視点」で記述しています。
[参考]TOKYO CALLING2017の販売モデル
概要
- 参加者はイベント参加の権利をチケット販売サイト(チケットぴあ等)で購入する。
- 販売価格は1日券4,500円。3日通し券12,000円。(表示は税抜)
- 参加者はイベント当日に運営事務局に立ち寄り、前売り券とリストバンドを交換する。
- 参加者は指定のライブハウスに自由に出入りできる。
- 指定のライブハウスが満員だった場合は、運営事務局員の指示に従って入場待ちとして待機することができる。
メリット
- 一般的な販売形式であるため、チケット販売プラットフォームを利用できる。
- 金儲けに徹した場合、売り上げが最大化するモデル。(ライブが見れない人が出ても、何も保証する必要がない)
デメリット
- 需要と供給のバランスが当日まで見えない。(誰がどの会場に行くかわからない)
- ライブが見れない人が一定数発生すると、運営責任を問われる可能性がある。
サーキットイベントにおける入場規制によって生まれる悲しみを可能な限り防ぐ、は大きく二通りの考え方があります。
- 入場規制を発生しないような売り方をする。
- 入場規制は発生しちゃうんだけど、参加者が納得しやすい売り方をする。
です。
まずは、
「入場規制を発生しないような売り方をする。」
だと、どうなるか見てみましょう。
1. ライブ選択式予約制販売
概要
- 参加者はイベント参加の権利を購入するのではなく、見たいバンドを複数指定し、そのライブの参加権利を購入する。
- 販売価格は4,500円(1日券の場合)。1ライブあたりの予約権を1,000円とし、4バンドまで指定可能。残り500円はキャパに空きのあるライブハウスに自由に出入りできる権利の対価とする。
- 事業者はライブハウスごとの販売数上限を設定する。予約数が販売数上限に達し次第、そのライブは販売完了とし購入不可とする。
- 参加者はイベント当日に運営事務局に立ち寄り、前売り券と(そのライブ専用の)リストバンドを交換する。最大4本。
- 参加者はそのライブ専用のリストバンドを着用することで、「必ずそのライブを見ることができる」
- ライブハウスのキャパに空きがある場合は、専用リストバンドが無くても出入り可能とする。
メリット
- 入場規制が発生しない。
デメリット
- コストがかかる。
特殊な売り方になるので、チケット販売プラットフォームが利用できず、自前でシステム構築しなければなりません。
「ライブ選択式予約制販売」は、入場規制が発生しない参加者にとって最もクリーンな販売方法なのですが、運営にとってはチケット販売プラットフォームが利用できないことと、自前でチケット販売サイトを開発し、運用するコストがかかることから、なかなか採用しにくいでしょうね。開発・運用コストは少なく見積もっても200万円以上すると思います。
次に、
「入場規制は発生しちゃうんだけど、参加者が納得しやすい売り方をする。」
です。
2. 優先枠販売
概要
- 参加者はイベント参加の権利をチケット販売サイト(チケットぴあ等)で購入する。
- チケットは、「プレミアムチケット」(料金が高い)と「スタンダードチケット」(料金が安い)の二種類。
- 「プレミアムチケット」(料金が高い)は、ディズニーにおけるファストパス的なチケット。「スタンダードチケット」の待機列を無視して、優先的にライブハウスに入場することができる。ただし、 ライブ開始前に「プレミアムチケット」待機列に並んでいる必要がある。
- 「スタンダードチケット」(料金が安い)は、「プレミアムチケット」の待機列が空になった後、ライブハウスに入場することができる。
- 参加者はイベント当日に運営事務局に立ち寄り、前売り券とリストバンドを交換する。
- 参加者は指定のライブハウスに自由に出入りできる。
- 指定のライブハウスが満員だった場合は、運営事務局員の指示に従って入場待ちとして待機することができる。(ライブが始まったら、チケットの優劣はなくなる。)
メリット
- チケットに優劣をつけることで、参加者側に「スタチケだし、仕方ないよね。」と思わせることができる。
- (おそらく)チケット販売プラットフォームを利用することができる。
デメリット
- 「プレミアムチケット」の販売数量が難しい。大きいライブハウス基準で販売数を決めると、小さいライブハウスに入れない人が発生する。
- かといって、小さいライブハウス基準で販売数を決めると、売上が小さくなる。
「優先枠販売」は、高いお金を払った人は優遇するよ!というわかりやすいシステム。
「プレミアムチケット」を買った人は、開演前に待機列に並びさえすれば、高確率でライブを見ることができる。
お金はあるけど、時間はない。そんな忙しい社会人にとってはありがたい制度になるはず。
最後はおまけ。
3. イベント速報アプリによる情報発信
概要
- 販売方法や運営方法は『TOKYO CALLING2017』と同じ。
- イベントの状況をリアルタイムに「専用アプリ」で配信する。
メリット
- 現行制度から変更点がほとんどない。
デメリット
- 専用アプリ開発コストがかかる。数十万円程度?
おそらくイベント当日はTwitterで情報収集していた人も多かったのではないかと思います。
公式がいつ更新されるかわからないから、自分で情報を拾いに行かないといけないし、地味に面倒でストレスなんですよね。
全ての会場の情報が専用アプリを見ればすぐわかる状態にするだけでも、参加者自身の行動をより効果的に誘導できるので、
参加者のストレス軽減と効率的な動員調整につながる可能性が高いです。
他にも、入場規制が発生したバンドについて追加公演を出来るようタイムスケジュールを組んでおく、など運用で頑張る方法もありますね。
こんな感じでしょうか。
もっといいアイディアを思いついた人は、@harupo1109までこっそり教えてください。
それでは、また。