特急すーぱーぽっち

ベンチャー企業で働くマーケターがインディーズバンドのマーケティングを考えるブログ。

とあるインディーズバンドのバンドマンとフライヤー・雑誌広告による宣伝について話してみた【バンドマーケティング】

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どうも、はるぽ(@harupo1109)です。

前置き

今回は、とあるインディーズバンドのバンドマンとの会話から記事を書いてみます。

インディーズバンドのマーケティングの事、インディーズバンドを取り巻く環境の事、おすすめのバンドの事など、いろいろなテーマで語る「とあるインディーズバンドマンのお悩み相談」シリーズは、今後も定期的に投稿する予定なのでよろしくお願いします。更新情報はTwitterで流します。はてなユーザーは、「読者になる」でも更新通知を受けることができるみたいです。

今回のテーマは「お金を使った宣伝活動(紙媒体)」について。

新しいファンを増やすための手段としてのフライヤー・雑誌広告

ファンを増やす手段として、フライヤーを配ってるインディーズバンドが多いよね。うちのバンドも作ってるし。でも、あんまりファンが増えてる実感ないんだよね。

全く意味がないとは言わないけど、新規ファン獲得のためにフライヤーを作るというのは、もったいないお金の使い方だと思うなぁ。

えっ、もったいないお金の使い方?!
どうして?みんなやってるメジャーな宣伝方法だよ?

理由は明確で、①新しいファンとなってくれる可能性のある人たちへどれだけ接触できるか、②接触できた人たちにバンドの魅力がしっかり伝えられるか、③効果を計測しやすいか、の3点でWeb上でのプロモーション(SNS/Youtube広告等)の方が圧倒的に優れているから。もし自分がバンドマンだったら、Web上で拡散してもらえるコンテンツ制作と、Web上での宣伝活動にお金を使うかなぁ。

んじゃ、ロキノンみたいな音楽雑誌に広告を出して宣伝するのはどうなん?
どこの書店にもある音楽専門雑誌だし、メジャーなバンドも一緒に掲載されてるよね。そこに自分たちのバンドの事が書かれていたら、名前が売れたぞ!って、ならない?

箔は付くかもしれないけど、まあそれだけだろうね。新しいファンが増えるか、の観点で考えるとそういう評価。例えば、ROCKIN'ON JAPANだったら一番安い枠で1色刷り1ページで550,000円。フライヤーと同じく、そのお金はYoutubeにアップするMVの制作費とWeb広告に回すべきというのが僕の意見だね。
試しにそれぞれ費用対効果を試算してみようか。なぜ僕はそういう意見になるのか、理解できると思うよ。

 

フライヤー・雑誌広告の費用対効果を考えてみる

1. フライヤー

項目 数値 備考
印刷枚数 10,000  
印刷費用 \26,340 料金表
反応率 1.0% サイト訪問・Twitterフォローなど
反応数 100  
反応獲得コスト \263  
効果測定 QRコード・専用Webサイト
拡散性 ×  
手間 放置可能

 

反応率1.0%???
100人に1人だけしか反応してくれないってこと?マジで?お客さん50人のライブで配ったら、四捨五入してようやく1人じゃん!

いやいや、これでもライブハウスという音楽好きが集まる空間で配布する、という前提を踏まえて、一般的な新聞の折り込み広告チラシや、ダイレクトメールよりめちゃくちゃ甘く見積もってるつもりだよ。

聞いてみたい、その反応率。エヴァ初号機の起動確率以下だったりするの?

あ、それよりはマシ。1,000枚配布して1件反応があれば上出来という世界。商売によっては広告チラシが有効な場合もあるけど、本題じゃないからスルーするね。

ところで、フライヤーを配った効果があったか調べる方法ってないの?今は配ったら終わりというか、効果がわからないまま続けてるから、調べる方法があれば知りたいんだよね。

フライヤーにQRコードやURLを書いて、バンドの公式サイトに誘導すればGoogle Analyticsで計測可能だね。ただし、それ以外の行動、例えばフライヤーを見てバンド名をGoogleTwitterで検索した場合などは計測することができないので、計測精度には限界があるよ。
じゃあ、次。

2. 雑誌広告(ROCKIN'ON JAPANの例)

項目 数値 備考
発行部数 400,000  
想定返本率 50% データ
出稿費用 \550,000 料金表
反応率 0.25% サイト訪問・Twitterフォローなど
反応数 500  
反応獲得コスト \1,100  
効果測定 ×  
拡散性 ×  
手間 記事制作

 

反応率がフライヤーより低くなっているのはなんで?
タダでもらったフライヤーより見るっしょ。じっくりと。

何百ページもある中で、自分たちが掲載されているページをちゃんと見てくれる可能性って、ライブハウスで数枚だけ渡されるフライヤーを見てくれる可能性より低いんじゃないか、という理由から低く見積もってるけど…、ここは推定が難しいので、的外れな数字かもしれない。
そもそも、バンドの武器は「楽曲」と「世界観(ビジュアル)」なのに、文字と写真だけで魅力を伝えようってところに無理があると思うけどね。

 

Web広告の費用対効果を考えてみる

さっきフライヤーや雑誌広告より、Web上で宣伝する方が良いと言っていたよね?
理由も納得はしたんだけど、どれくらい効果が高いって言えるもんなの?

難しいね。Web上にどれくらい拡散されたか次第で決まると言ってよいから、やってみないとわからないね。

Webの広告なんてよく知らないし、なんか胡散臭いなぁ。
拡散されればいいんでしょ?
んじゃさ、Twitterで自分で拡散希望!って、Youtubeのリンクをツイートして宣伝して頑張ればいいってことにならない?

それで成果が出るんなら、最も賢くて効果的なプロモーション方法と言ってよいと思うよ。Web広告にお金を使う必要はないよね。

そんな甘い世の中じゃないのよね。厳しいよ、現実は。俺、フォロワーも少ないし。んで、具体的にはどういう宣伝をするの?

Web広告はいろんな種類があるけど、やっぱりバンドのプロモーションと一番相性が良さそうなのはYoutube広告だね。

動画が再生される前に入ってくるアレでしょ?イラっと来るから超嫌いなんだけど。

うん、わかる。邪魔だなって感じることは多いよね。ただ、動画再生前に割り込む以外にも広告を掲載できる場所があって、「Youtube上での検索結果」と「関連動画」に出せる広告があるんだよね。インパクトは弱くなっちゃうけど、イメージ悪化を回避できるメリットがある。

でも、お高いんでしょう?
インディーズバンドってたいていお金ないよ?

Youtube広告は自分で広告予算を決められるよ。固定でいくらというものではなくて。少額の予算で実験的に開始することができるから、失敗して大怪我することもないし。

でも、広告が表示されたらお金取られるんでしょ?
音楽に興味のない人に広告が表示されて、スキップされて、それでお金取られるってのは納得できないんだけど。

下に実際の設定画面の画像を見てみ。「インディーズロック」に興味関心がある人にだけ広告を出すということができる。他にも年齢や性別などでも絞り込みが出来るから、設定次第で無駄な広告接触は回避できる。あと、30秒以上再生されないと課金されない仕組みになってて、スキップした人の分は広告が出ていてもお金がかからないよ。

 

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それはいいね。30秒以上再生されたら、いくら取られるの?

細かい説明をすっ飛ばして結論だけ言うと、今だと1再生毎に2円~4円くらいかな。

ん!?ということは、「反応獲得コスト」が2円~4円ということ?ヤバない?

「反応」をバンドの音楽を聞いてくれた、MVを見てくれた、という定義にすると、そうなるね。圧倒的なYoutube利用人口に対して、バンドの音楽を聞かせることができて、何回見てもらったか、チャンネル登録が増えたかがすぐわかる。フライヤーや雑誌広告でファンを増やそうとするより、明らかに効率が良さそうだよね。

やろ!今すぐやろ!うちのバンドのMVをYoutubeで宣伝しよ!

 

インディーズバンドのファン獲得手段としてのYoutube広告

インディーズバンドのファン獲得手段としてYoutube広告にどれくらい可能性があるのか、実際にYoutube広告を使って実験しているので、需要があれば別の機会にまとめたいと思います。

 

それでは。