特急すーぱーぽっち

ベンチャー企業で働くマーケターがインディーズバンドのマーケティングを考えるブログ。

嘘とカメレオンはいかにしてYoutubeの再生数を伸ばしたのか

f:id:h4ru:20170709163144p:plain

前回のエントリで、「嘘とカメレオン」について書ききれなかったので、改めて取り上げたい。前回のエントリはコチラ。

 

彼らの数字を調べていて衝撃を受けたのがここ。

2016年12月に公開したバンド初のMV「されど奇術師は賽を振る」がノンリリース、ノンプロモーションにも関わらず、半年で再生回数140万回を突破、チャンネル登録者数も現在10,000件を超え、業界を騒然とさせる。

-嘘とカメレオン Official Web | 嘘とカメレオンのライブ情報・リリース情報等より引用

 

公式サイトの紹介にもあるように、「ノンリリース、ノンプロモーションにも関わらず、半年で再生回数140万回を突破、チャンネル登録者数も現在10,000件を超え」をどのように実現したのか。結成が2014年で2年間の音楽活動の下地があるとはいえ、驚異的な実績だ。すごく気になる。再生数が伸びていく様子がTwitterにあったので、追ってみよう。

 

「されど奇術師は賽を振る」Youtube再生回数推移

MV公開から1週間で3500回達成

MV公開から17日で5000回達成

MV公開から2ヶ月と4日で10万回達成

 

Twitterで再生数に関するツイートをすべて拾ってグラフにするとこうなる。

 

f:id:h4ru:20170709164045p:plain

2017年2月10日を境に、急激に再生数が伸びている。この頃に何かしらの変化が起きたようだ。

次は、TwitterでMVがいつの時点からシェアされるようになったのかを調べることで原因を探ってみたい。

MVのシェア数はどのように伸びていったか

f:id:h4ru:20170709211824p:plain

Twitterの検索窓に「嘘とカメレオン されど奇術師は賽を振る since:2017-1-09 until:2017-2-11」と入れると、「2017年1月9日から2017年2月11日までの期間に、【嘘とカメレオン】と【されど奇術師は賽を振る】の二つのキーワードが含まれているツイート」を返してくれる。これは、YoutubeからTwitterでシェアした場合に必ず含まれるキーワードとなる。大体これで希望通りの結果が返ってくる。

返ってきた検索結果から、日別に集計したものが上記のグラフになる。

案の定、2月10日近辺に急激にシェアの数が増えていることがわかる。ここから、「Youtubeのおすすめ」に掲載されたか、「関連動画に頻出」するようになったか、あるいは両方の要因で、多くの人の目に留まるようになった結果、MVのシェア数が増えていったものと推測できる。

Youtubeのコメントも調べてみたところ、日付レベルでの検証はできないものの、2017年2月~3月頃にYoutubeの「あなたへのおすすめ」がきっかけで見た人がいることがわかった

e L4 か月前
この動画が あなたのおすすめ に出てきた。

どうやらyotubeは俺の好きなジャンルを良く分かってらっしゃるようだ。

-嘘とカメレオン 「されど奇術師は賽を振る」 - YouTubeより引用

世界の樂太4 か月前
おすすめに出てたから聴きに来た。うん、良いじゃん!結構、好みかも。
ボーカルがカッコイイ見た目に反して可愛い声してるんだなとは思った。

-嘘とカメレオン 「されど奇術師は賽を振る」 - YouTubeより引用


焔心音4 か月前
なんでこれおすすめに出てきたʬʬʬ

-嘘とカメレオン 「されど奇術師は賽を振る」 - YouTubeより引用

全て検証したわけではないが、ぱっと見で4ヶ月前(エントリ投稿時点で2017年2月~3月頃を指している)からコメントが急増している。

アウトローtheオワ吉4 か月前
ゆらゆら帝国の関連動画からきた。最初「あ〜名前もといthe最近のバンドだなぁ」と思ったけどちょっと何かが違うね。

-嘘とカメレオン 「されど奇術師は賽を振る」 - YouTubeより引用

関連動画に関する初出のコメント。Youtubeのおすすめに掲載された時期と、関連動画に登場する時期が被っていた可能性が高い。

再生数が急激に伸び始めたのと同じタイミングで、ポルカドットスティングレイのメンバーからレコメンドのツイートがあったりと、さらにブーストの燃料が投下されている。

 

この後も勢いは加速していき、「嘘とカメレオン」が、2017年2月21日にトレンド入りしている。

 

 

王道に近道なし

改めて再生数が伸びていった経緯を整理すると、下記のようになる。

1. メンバーが地道に布教活動
 ・ハッシュタグ
 ・拡散希望ツイート
2. Youtubeおすすめにのる
3. 関連動画に出る ※2,3の順序は不明
4. シェアが増える
5. ツイッタートレンドにのる
6. 2〜4のサイクルが強化される

 

MVの再生数を伸ばすために、「Youtubeのおすすめ 」・「関連動画」を利用したいところだが、いずれも投稿者側で制御できるものではない。Googleを買収するしかない。これらの仕組みを理解したうえで、表示される確率を上げていく方法を取るしかないと思われる。

 

それと同時に、誰かにシェアしてもらうためには、「シェアしたくなるコンテンツ」であることが大前提なので、それを意識して制作することも求められる。「シェアしたくなる要素」については、また別のエントリで触れたいと思う。

 

嘘とカメレオンのSNS上の活動を見ると、ハッシュタグなども利用して積極的に拡散を狙っていたり、彼らの公式Twitterや、コーラの人(渡辺 壮亮 (@wtnb_laugh_tone) | Twitter)が、自分たちのバンドへの言及を丁寧にコメつきでRTしているのがわかる。

エゴサして、コメント返すのは地味にしんどいはずだが、こうした地道な活動によって「おすすめ」を勝ち取ったんだとすると、「王道に近道なし」という感じがする。