特急すーぱーぽっち

ベンチャー企業で働くマーケターがインディーズバンドのマーケティングを考えるブログ。

インディーズバンドのメンバーが音楽活動で年収500万円を達成するための超ざっくりシミュレーション

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どうも、こんにちは。

何年も前から各所で音楽業界の衰退が叫ばれているけど、なんだかんだで世の中には、星の数ほどのバンドがある。次から次へと、生まれては消えていく。

彼らの多くは、「ずっと音楽だけやって生きていければいいのに…」と思いながら、音楽活動を続けている。このページにたどり着いたあなたも、そんな内の一人かもしれない。そんなあなたのために、もしインディーズバンド(メンバー5人)で日本人男性の平均給与並に稼ごうと思ったら、どれくらいファンが必要で、どういう活動をすれば良いか考えてみた。

かなり大雑把なシミュレーションなので、細かい点については大目に見てもらいたい。

固定ファンが7,000人でギリ黒字に 

大項目 中項目 通年 構成比
売上高 ブッキングライブ売上 ¥10,500,000 28.41%
  ワンマンライブ売上 ¥8,400,000 22.73%
  CD売上 ¥10,500,000 28.41%
  物販売上 ¥7,560,000 20.45%
  小計 ¥36,960,000  
売上原価 ブッキングライブ原価 ¥1,200,000 11.55%
  ワンマンライブ原価 ¥3,000,000 28.87%
  CD原価 ¥924,000 8.89%
  CD流通費 ¥4,200,000 40.42%
  物販原価 ¥2,268,000 21.82%
  小計 ¥10,392,000  
販管費 人件費 ¥25,000,000 94.98%
  スタジオ費用 ¥720,000 2.74%
  交通費 ¥240,000 0.91%
  雑費 ¥360,000 1.37%
  小計 ¥26,320,000  
営業利益   ¥248,000  
営業利益率   0.67%  


5人組インディーズバンドのメンバーが、年収500万円を達成するために、なぜファンが7,000人必要なのか。どのように計算してそうなったのか、少し説明したいと思う。

まずは、雰囲気をつかんでもらうためにシミュレーションに使ったパラメータの全体像を掲載しておく。

カテゴリ # 内容 数値 説明
固定ファン数 A   7000  
ファン稼働率 B ブッキングライブ 1.25% 何%がライブに来てくれるか
  C ワンマンライブ 20.0% 何%がワンマンに来てくれるか
  D CD 30.0% 何%がCDを買ってくれるか
  E 物販 3.00% 何%がグッズを買ってくれるか
ブッキングライブ関連 F ライブ回数/月 4  
  G 平均ライブ動員/回 84 A × B
  H 平均チケット代 ¥2,500  
  I ライブハウス費用/回 ¥25,000 チケットノルマ10枚 * 25,000円
ワンマンライブ関連 K ワンマン回数/年 2  
  L 平均ワンマン動員 1400 A × C
  M 平均チケット代 ¥3,000  
  N ライブハウス費用/回 ¥1,500,000 キャパにより変動
CD販売関連 P リリース数/年 2  
  Q 平均販売数 2100 A * D
  R 平均CD販売価格 ¥2,500  
  S 自主販売シェア 20%  
  T 全国流通手数料 50%  
  U CD原価/枚 ¥200 在庫余裕率10%とする
物販関連 V 平均物販単価 ¥3,000  
  W 平均販売数/月 210 A * E
  X 平均原価率 30%  
バンド活動経費 Y メンバー数 5  
  Z 平均給与 ¥400,000  
  AA 練習回数/月 10  
  AB 練習時間/回 3  
  AC リハスタ費用/時 ¥2,000  
  AD 交通費/月 ¥20,000  
  AE 雑費/月 ¥50,000  

各項目の説明

固定ファン数・ファン稼働率

バンド活動の主な収益源は、「ファンがライブに来てくれる」、「ファンがCDを買ってくれる」であり、当然ながらファンの存在なくして活動は成り立たない。

一言で「ファン」と言っても、CDをリリースするたびに買ってくれて、ライブもたくさん来てくれる売り上げにつながるファンと、そのバンドが好きだという点では同じだけど、YoutubeでMVだけ見てるような売り上げにつながらないファンがいる。売り上げにつながるファンを「固定ファン」と呼び、この数をシミュレーションで使っている。売り上げにつながらないファンは「無課金ファン」として呼び分ける。

「無課金ファン」っていう名称は響きがあれだけど、バンドのことを知ってくれているという意味では、非常に大事なファンなので、お金を使ってくれないからといって冷遇しないようにしたい。

次に、ファン稼働率について。これは「固定ファンが、どれくらいの割合で行動を起こしてくれるか」を表している。造語なので、ググっても出てこない。
「固定ファン」にも、CDは買ってくれるけど、ライブには来てくれない。ワンマンライブは来てくれるけど、ブッキングライブには来てくれない。など、いろんな人がいるので、項目が分かれている。

「ファン稼働率」は、自分が知っている範囲で、多分これくらいかな?という数字を入れている。あんまり自信がない。バンドによって全然違う数字になってるんじゃないかな、と思う。ここは、それぞれの信じる数字を当てはめてね。

ブッキングライブ関連

ブッキングライブ関連では、毎月のブッキングライブの活動回数やチケット代を設定する。ブッキングライブの平均動員数は、固定ファンとファン稼働率で計算している。
「ライブハウス費用」は、いわゆるチケットノルマを表している。「ワンマンで1,400人も動員するバンドがチケットノルマ・・・?」と思った人もいるかもしれない。チャージバックにも色々バリエーションがあるし、計算が面倒なので、とりあえずブッキングライブを1回やると、25,000円かかるものとする、として計算した。手抜きですいません。

ワンマンライブ関連

ワンマンライブ関連は、あまり説明するものはないけど、ライブハウスを借りるお金以外に色々出費ありそうだな、と思う。ゲスト呼んだり、ステージ演出にお金かけたり。

CD販売関連

楽曲の販売経路がありすぎて、「ライブハウスや公式ショップでの自主販売」か「タワレコみたいな店舗」の二つに絞った。店舗販売の手数料が高いので、これからはYoutube経由でiTunesに誘導して購入してもらうのが良さそうに思う。

CDの原価については、プレス数に比例して安くなるので、その辺は調整の余地がある。あ、レコーディング代を入れるの忘れた。

物販関連

参考になるデータがないので、かなり適当。「固定ファン」の3%が入れ替わりで毎月何かしらの商品を買うという条件にしてみた。Tシャツか、CDあたりを1点購入して3,000円という感じ。原価率は30%くらいと思われる。「固定ファン」の数に比例してドンドン稼げる場所だから、力を入れたいポイントと言って良い。

バンド活動経費

まあ、気づいてしまった人もいるかと思うんですが、もしメンバーが3人なら1年あたり1,000万円くらい利益が出てしまうんだね。

ちなみに、メンバーの年収を300万円にしても、同じように1,000万円くらい利益が出るよ。

固定ファンが10,000人だったら、1,300万円の黒字

全く同じ条件で、固定ファンの数を10,000人にしてみると、年間で1,300万円の利益が出る。営業利益率は約25%。非常に優秀なビジネスに大変身。人気が継続すれば、の話だけど。規模に応じて、ライブの演出やMVにお金をかけるなど、支出も大きくなると思うので、ここまで儲からないかもしれない。

さて、メンバー5人のインディーズバンドが年収500万円を目指そうとしたときのおおよそ必要な「固定ファン」の数がわかった気になったところで、次回は実在のバンドとSNS上の各種数値を並べて色々考えてみようと思う。

では、また。